【初心者向け】幹細胞とは? 基礎知識や医療・美容に応用されている理由を簡単に解説!

幹細胞は体の維持や組織の修復に欠かせないものであり、自己複製能・分化能と呼ばれる能力を兼ね備えています。再生医療での研究が進められており、近年では美容分野においても注目されている成分です。しかし「幹細胞由来成分を用いた美容法が気になっているものの、実際にどのようなものなのかはよく知らない」という方も多いでしょう。

そのような方のために、本記事では、幹細胞の基礎知識や再生医療での応用について簡単にまとめています。また幹細胞が美容分野でどのように利用されているのかも解説しているので、幹細胞に対する理解を深めたいという方は、ぜひご覧ください。

【この記事で分かること】

  • 幹細胞が持っている能力と種類
  • 幹細胞と医療分野・美容分野との関係性
  • ヒト幹細胞培養液を美容成分とした化粧品に期待できる効果

そもそも幹細胞とは?

幹細胞とは、ダメージや寿命で失われた細胞を補充するため、体の中で絶えず働き続けている特別な細胞です(※)。

細胞にはそれぞれ寿命があり、入れ替わり続けています。この細胞の入れ替わりを支え、失われた細胞を補充しているのが幹細胞です。

例えば、皮膚にかすり傷を負ったときに皮膚が修復されるのは、傷ついた部位にある皮膚の幹細胞が働いているためです。人間の手や足、皮膚、臓器などが一つの受精卵から作られるのにも、この幹細胞が関係しています。

※参考:再生医療ポータル.「幹細胞とは?」.(参照2025-12-10).

幹細胞が持っている2つの能力

幹細胞には、自己複製能・分化能と呼ばれる能力が備わっています(※)。

自己複製能とは、細胞分裂の過程で自分と全く同じ能力を持った幹細胞を複製し続ける力です。この能力によって、体の修理や再生に必要な幹細胞が長期間維持されています。細胞の入れ替わりを支え、常に安定した供給源を確保する、生産工場のような位置づけです。

分化能とは、皮膚や血液、神経などの特定の機能を持った細胞へと変化する能力を指します。自分と全く同じ能力を持った幹細胞を複製するのでなく、別の役割を持つ細胞に変わる点が、自己複製能との違いです。

※参考:再生医療ポータル.「幹細胞とは?」.(参照2025-12-10).

幹細胞は大きく分けて2種類に分類される

幹細胞の種類は、多能性幹細胞・組織幹細胞の2種類に分類されます。以下で、それぞれの特徴を確認しましょう。

多能性幹細胞|体内のさまざまな細胞に分化できる幹細胞

多能性幹細胞とは、体の組織を構成するほとんどの細胞(胎盤などの組織以外)に変化できる幹細胞です(※1)。血液や神経系、腸、表皮など、生きる上で必要な細胞に変化できる能力を持っています(※2)。

なお、多能性幹細胞はES細胞とiPS細胞の2種類が代表的です。いずれも再生医療などで注目されており、医療チームによる研究が続けられています。

※1参考:再生医療ポータル.「多能性幹細胞(たのうせいかんさいぼう)」.(参照2025-12-12).

※2参考:再生医療ポータル.「幹細胞とは?」.(参照2025-12-10).

ES細胞

ES細胞は、受精卵の分裂段階で採取された胚(はい)から取り出される幹細胞です。胚とは受精卵が分裂し、一つの細胞のかたまりになったものを意味します。

ES細胞は体のあらゆる細胞へと変化でき、多能性幹細胞の中でも高い万能性を持っています。そのため、再生医療の実現に向けて不可欠なものであると、研究が始まった段階から大きな期待が寄せられていました。

しかしES細胞は、患者にとっては他人の細胞です。そのため、移植後の拒絶反応が起こるリスクがある点が課題といわれています(※)。さらに、製造過程で人間の受精卵を破壊する必要があるため「生命の萌芽となる受精卵を治療に使用すべきなのか」と疑問視されることもあります。

※参考:再生医療ポータル.「ES細胞」.(参照2025-12-10).

iPS細胞

iPS細胞は、京都大学の山中伸弥教授が率いる研究チームによって開発された幹細胞です(※)。研究では、皮膚などの体細胞に特定の遺伝子を加えて細胞の状態を初期化し、さまざまな細胞に分化できる性質を持たせることに成功しました。

またiPS細胞は、受精卵を使わずに細胞を培養できるため、ES細胞で問題視されていた「受精卵を治療に使っても良いのか」という生命倫理上の問題がありません。再生医療では患者自身の細胞を使うことになるため、移植後の拒絶反応が起きにくい点も大きな特徴です。

iPS細胞の開発により、倫理的な問題をクリアしつつ再生医療を実現する道が開けました。

※参考:再生医療ポータル.「iPS細胞」.(参照2025-12-10).

組織幹細胞|体の特定の組織に存在している幹細胞

組織幹細胞は、皮膚や血液などの特定の組織に存在している幹細胞です。

例えば、皮膚なら皮膚の細胞、神経幹細胞なら神経系の細胞といったように、その組織に必要な特定の細胞にのみ分化します(※)。

組織幹細胞は種類が多くありますが、中でも代表的なのは以下の3つです。

  • 造血幹細胞
  • 間葉系幹細胞
  • 神経幹細胞

※参考:再生医療ポータル.「幹細胞とは?」.(参照2025-12-12).

造血幹細胞

造血幹細胞は、骨の内部にある骨髄に存在する幹細胞です。

私たちの体には、液体成分の血漿(けっしょう)と細胞成分の血球が含まれています。これらは生命を維持するために重要な役割を果たしており、健康体でいるために必要です。

造血幹細胞は、細胞分裂を繰り返す中で血球成分である赤血球・白血球・血小板の3つを絶え間なく作り続けています(※)。自己複製・分化の能力を持ち合わせており、生きる上で必要な新しい血液細胞を供給し続けているのです。

※参考:一般社団法人 日本造血・免疫細胞療法学会.「1-1. 造血幹細胞とは」.(2018-05-17).

間葉系幹細胞

間葉系幹細胞は、成人の骨髄や脂肪組織などから採取できる細胞です。骨や軟骨、脂肪、血管など、さまざまな組織の細胞に分化できる能力を持っています。

組織幹細胞には、既に治療で使用されているものも多いです。しかし、生体内から幹細胞を取り出すのが難しい組織もあります(※)。

その課題を解決できる可能性があるとして注目されているのが、間葉系幹細胞です。間葉系幹細胞は前述の通り、成人の骨髄や脂肪組織などの身近な場所から比較的簡単に取り出せるため、治療に利用しやすい点が特徴です(※)。

これまで治療が困難だった病気に対しても、間葉系幹細胞の再生医療への応用が期待されています。

※参考:再生医療ポータル.「間葉系幹細胞の利用価値」.(参照2025-12-12).

神経幹細胞

神経幹細胞は、神経系の細胞に分化できる能力を持っており、脳の記憶や学習をつかさどる海馬や脳室近くにある脳室下帯に存在しています。

主な役割は、神経細胞やそれを支えるグリア細胞を必要に応じて生み出し、記憶や認知機能の維持を支えることです。

神経幹細胞は、パーキンソン病や脊髄損傷など、神経系の病気や損傷に対する再生医療の分野で注目されています。ただし、採取するのが難しい幹細胞であるため、治療にそのまま利用するのには大きなハードルがあります。

【簡単解説】再生医療における幹細胞とは?

幹細胞が持つ自己複製能と分化能は再生医療で注目されており、これまで治療が困難だったけがや病気の治療に応用するために研究が進められています。

再生医療とは、病気やけがで失われた組織や臓器を、幹細胞を用いて回復・再生させる医療技術です(※1)。例えば心筋梗塞の場合、疾患部分に治療目的に応じた幹細胞を移植して機能の回復や組織の修復を目指します(※2)。

現在日本では、以下のような再生医療研究が進められています(※2)。

  • バージャー病などで血行が悪くなった下肢の血流改善
  • やけどなどを負った皮膚の再生
  • 網膜・角膜の再生
  • 顔・顎の再生
  • パーキンソン病や脊髄損傷などの脳機能の回復

なお再生医療を提供できるのは、必要な手続きを踏んで国から認可を受けた医療機関のみです(※3)。

※1参考:再生医療ポータル.「再生医療とは」.(参照2025-12-12).

※2参考:国立研究開発法人 科学技術振興機構.「知ってみよう再生医療2」.”幹細胞を用いた再生医療””現在進められている再生医療研究の例”.(参照2025-12-12).

※3参考:厚生労働省.「再生医療・遺伝子治療等について」.”再生医療等を提供しようとする医療機関又は特定細胞加工物を製造しようとする皆様へ”.(参照2025-12-12).

【簡単解説】美容分野における幹細胞とは?

再生医療として研究が進められている幹細胞ですが、その研究過程で得られた知見や技術は、美容分野にも応用されています。美容医療としては、幹細胞治療や幹細胞からつくり出される「幹細胞培養上清液」を用いた注射・点滴を行うケースが存在します。また近年では、幹細胞培養上清液を利用するエステ施術や化粧品も現れています。最後に、最近よく耳にする幹細胞コスメについて解説します。

幹細胞コスメとは幹細胞培養上清液を用いて開発された化粧品のこと

いわゆる幹細胞コスメとは、幹細胞培養上清液を成分として用いた化粧品のことです。幹細胞が直接入っているわけではなく、培養上清液に含まれる成分を使って肌の状態を整えることを目的としています。

幹細胞培養上清液を用いたコスメの原材料は、大きく分けてヒト由来・植物由来・動物由来の3種類があります。中でも美容業界で導入が進んでいるのは「ヒト幹細胞培養液」を用いた製品です。

なお、ヒト幹細胞培養液を用いた化粧品による重大なトラブルは、現在のところ報告されていません。ただし、化粧品による肌荒れは誰にでも起こり得るため、万が一トラブルがあった場合は使用を中止しましょう。

ヒト幹細胞コスメに期待できる効果

ヒト幹細胞培養液には、成長因子やサイトカインなどの成分が含まれています。一般的なヒト幹細胞コスメの場合、保湿などのスキンケアを通じて、以下のような肌悩みにアプローチできると考えられています。

  • 肌の乾燥
  • 乾燥による小じわ
  • 乾燥による肌のくすみ・ハリ不足
  • 肌荒れを防ぐ

など

幹細胞は健康的な体を支える上で不可欠な細胞!

幹細胞は、私たち人間の体を支える細胞を絶えず作り続けています。自己複製能と分化能の2つの力によって、古くなったり傷ついたりした細胞を常に新しい細胞へと入れ替える役割を担っているのです。

近年は、幹細胞研究の知見を応用した再生医療や、幹細胞の培養過程で得られる成分を応用した幹細胞コスメなども注目されています。

株式会社エテルナムは「ヒト臍帯由来間葉系幹細胞培養上清液」を配合したスキンケア製品を開発しています。毎日のスキンケアにヒト幹細胞培養液を取り入れたい方は、ぜひエテルナムの化粧品をお試しください。